働けなくなったときの給付ガイド

傷病手当金

会社員等の健康保険被保険者が病気やケガで働けなくなった際、標準報酬日額の3分の2を最長1年6か月支給する所得保障制度。

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病気やケガで長く休むことになったとき、会社員が最初に確認したいのが傷病手当金です。健康保険から給料のおよそ3分の2が、通算で1年6か月まで支給されます。有給休暇を使い切っても、給料が出なくなっても、この手当で生活を支えられます。この記事では、対象の条件、計算例、退職した後も受け取れる仕組み、手続きと注意点をまとめます。

  • 標準報酬日額の3分の2という計算式と、月給別の目安
  • 連続3日休んだ後の4日目から、通算1年6か月まで
  • 退職後も受け取り続けられる条件(退職日の過ごし方が重要)
  • 休職中も社会保険料はかかるなど、見落としやすい点

制度の基本情報

医療費助成 全国対象
実施主体
協会けんぽ・健康保険組合
給付・助成内容
標準報酬日額の3分の2を最長1年6か月支給
対象条件
健康保険(協会けんぽ・組合健保等)の被保険者であることが条件。自営業者が加入する国民健康保険には原則この給付がない。
申請方法
「健康保険傷病手当金支給申請書」を勤務先経由、または本人が加入する協会けんぽ支部・健保組合へ提出。

公式サイトで最新情報を見る →

2026年7月31日 時点の公式情報をもとに整理しています。金額・期限は改正されることがあるので、申請前に公式サイトでご確認ください。

結論:給料のおよそ3分の2が、通算1年6か月まで支給される

傷病手当金の1日あたりの支給額は、次の式で決まります。

1日あたりの支給額= 支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 3分の2

標準報酬月額は、健康保険料の計算に使われる区分ごとの月給です。おおむね月給(残業代・通勤手当込み)に近い金額と考えてください。

標準報酬月額1日あたり30日あたりの目安
20万円約4,447円約13万3,000円
30万円約6,667円約20万円
40万円約8,887円約26万7,000円
50万円約11,110円約33万3,000円

支給期間は支給開始日から通算して1年6か月です。令和4年の改正で「通算」になったので、途中で復職して出勤した期間は数えず、休んだ日だけを合計して1年6か月分まで受け取れます。

傷病手当金は非課税です。所得税・住民税はかからず、確定申告も不要です。

対象になる条件:4つすべてを満たす

  1. 業務外の病気やケガで療養していること。仕事中や通勤中のケガは労災保険の対象で、傷病手当金ではありません。うつ病などの精神疾患も、業務外であれば対象です
  2. 働くことができない(労務不能)こと。医師が「働けない」と判断していることが必要で、申請書に医師の意見欄があります
  3. 連続する3日間を含んで4日以上休んだこと。最初の3日間は「待期」といい、支給されません。土日や有給休暇を含んでも構いません。4日目から支給の対象です
  4. 休んでいる間、給与の支払いがないこと。給与が出ていても、傷病手当金の額より少なければ差額が支給されます

加入している保険が協会けんぽまたは健康保険組合であることが前提です。自営業やフリーランスが加入する国民健康保険には、原則として傷病手当金がありません(一部の国保組合を除く)。会社員・パートで、勤務先の健康保険に入っている人が対象です。

退職後も受け取り続けられる。ただし「退職日」に注意

傷病手当金は、条件を満たせば退職した後も、残りの期間について支給が続きます。これを「継続給付」といいます。条件は2つです。

  • 退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること(会社が変わっても、空白なく健康保険に入っていれば通算されます)
  • 退職日の時点で傷病手当金を受けている、または受けられる状態であること(待期3日を終えて労務不能の状態)

ここで最も重要なのが退職日の過ごし方です。退職日に出勤して働くと、「退職日に労務不能ではなかった」とみなされ、継続給付を受けられなくなります。挨拶や私物の整理のためでも、出勤扱いになると不利になることがあります。退職日は休んだままにして、挨拶は別の方法で済ませてください。

退職後は、老齢年金(65歳以上などで受給している場合)との調整があり、年金額が傷病手当金より多いと支給されません。また退職後に一度でも働ける状態に回復すると、その後は再び悪化しても継続給付は受けられません。

手続き:申請書を会社経由で健康保険へ

申請には「健康保険傷病手当金支給申請書」を使います。記入欄は3つに分かれています。

  1. 本人が記入する欄:氏名、振込先、休んだ期間、傷病名など
  2. 会社が記入する欄:休んだ期間の勤務状況と、給与の支払いの有無
  3. 医師が記入する欄:労務不能と認めた期間と、その理由

3つがそろったら、勤務先経由(または本人が直接)で協会けんぽの支部や健康保険組合に提出します。1か月ごとに申請するのが一般的で、申請から2週間から1か月ほどで振り込まれます。給与の締め日に合わせて申請すると、会社の記入がスムーズです。

申請の時効は、休んだ日ごとに2年です。過去の分をまとめて申請することもできますが、生活のためには月ごとに申請するのが現実的です。退職後の申請は、本人が直接、退職時に加入していた協会けんぽ支部や健康保険組合に提出します。

見落としやすい3つのこと

  • 休職中も社会保険料はかかる。健康保険料と厚生年金保険料は、給与がなくても発生します。会社が立て替えて後で精算するか、本人が会社に振り込む形になります。傷病手当金の額から、この保険料分を引いて生活費を考えてください
  • 出産手当金・障害厚生年金との調整がある。出産手当金を受けられる期間は傷病手当金が出ません(出産手当金が優先し、傷病手当金のほうが多ければ差額)。同じ病気で障害厚生年金を受ける場合も調整されます
  • 有給休暇を使うと、その日は支給されない。有給休暇は給与が出るので、傷病手当金の対象外です。待期の3日間に有給を充てるのは問題ありません。長く休むなら、有給を使い切る前に傷病手当金の申請を始めることもできます

よくある質問

うつ病でも傷病手当金はもらえますか?

もらえます。業務外の病気であれば、精神疾患も対象です。医師が「働くことができない」と判断し、申請書の医師記入欄に記載してもらうことが必要です。連続3日の待期を経て4日目から、通算1年6か月まで支給されます。

退職した後も傷病手当金を受け取れますか?

条件を満たせば受け取れます。退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日の時点で傷病手当金を受けている(または受けられる状態にある)ことが条件です。退職日に出勤すると継続給付を受けられなくなるので、退職日は休んだままにしてください。

傷病手当金をもらっている間、健康保険料や年金の保険料は払うのですか?

払います。休職中も健康保険料と厚生年金保険料は発生し、会社が立て替えて後で精算するか、本人が会社に振り込みます。傷病手当金は給与のおよそ3分の2なので、そこから保険料を差し引いた金額が実際に使えるお金です。産前産後休業や育児休業のような保険料免除はありません。

国民健康保険でも傷病手当金はありますか?

原則としてありません。傷病手当金は協会けんぽや健康保険組合の給付で、自営業やフリーランスが加入する国民健康保険には基本的に設けられていません。一部の国民健康保険組合(業種別の国保組合)では独自に傷病手当金を設けている場合があるので、加入先に確認してください。

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