毎月ぎりぎりで、貯金もほとんど増えない。うちの収入は少ないほうなんだろうか——そう思って平均年収を検索したことがある方は多いはずです。ただ、その比較では答えが出ません。この記事では、比べる相手を平均から自分の家の必要額に置き換える手順を扱います。
- 平均年収と比べても答えが出ない3つの理由
- 手取りと固定費の差額を出す手順
- 打てる手を4つに分けて考える整理の仕方
- 「給料が少ない」と伝えずに共有する方法
結論:比べる相手は平均ではなく、自分の家の必要額
平均年収と比べると、たいてい気持ちが悪くなるだけで終わります。理由は3つあります。
1. 平均は「額面」であって手取りではない
公表されている平均給与は額面の数字です。ここから所得税・住民税・社会保険料が引かれるので、実際に使えるお金とは別物です。手取りと額面を比べていると、常に自分の家が低く見えます。
2. 平均は全年齢・全業種・全地域の混合
国税庁の民間給与実態統計調査(令和6年分)では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円、男性587万円、女性333万円でした。ただしこれは20代も50代も、都市部も地方も、全業種もまとめた数字です。30代前半の人が全年齢の平均と比べても、比較になりません。
3. 平均は高いほうに引っ張られる
平均という計算方法は、一部の高い数値があると全体が上に引き上げられます。多くの人が「平均より下」と感じるのは自然なことで、家計の状態とは関係がありません。
出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2024.htm
手順:差額を1つの数字にする
やることは3つだけです。
手順1:手取りを出す
給与明細の差引支給額が手取りです。毎月変動するなら直近3か月の平均を取ります。賞与がある場合は、年間の合計を12で割って月額に足します。
手順2:毎月出ていく額を出す
家賃または住宅ローン、水道光熱費、通信費、保険料、教育費、車の維持費、食費。ここまでで「毎月必ず出ていく額」が決まります。
手順3:差額を見る
手取りから支出を引いた金額が、毎月手元に残る額です。ここで初めて「少ない」の中身がはっきりします。
| 差額の状態 | 問題の性質 |
|---|---|
| 毎月マイナス | 収入と支出の構造の問題。両方に手を打つ必要がある |
| ほぼゼロ | 回ってはいるが備えがない。想定外の出費に弱い状態 |
| プラスだが目標に届かない | 金額の問題ではなく、目標との距離の問題 |
この3つは取るべき対応がまったく違います。「給料が少ない」とひとまとめにしていると、どれに当てはまるかが見えません。
額面しか分からない場合は、手取り年収シミュレーターで年収から手取りの目安を計算できます。転職や働き方を変えた場合の金額も同じ条件で比べられます(無料・登録不要)。
打てる手は4つ。同時に考える
差額が出たら、それを埋める手段を並べます。ここで「夫の収入を上げる」だけに絞ると行き詰まります。
| 手段 | 効果が出るまで | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 固定費を見直す | 翌月から | 通信費・保険料・使っていない契約がある |
| 配偶者が働く・時間を増やす | 数か月 | 働ける時間の余地がある |
| 副業で収入の柱を足す | 数か月〜 | 本業に余力がある。勤務先が副業を認めている |
| 本人が転職する | 半年程度〜 | 今の勤務先で昇給の見込みが乏しい |
効果が出るまでの時間がそれぞれ違うので、どれか1つを選ぶのではなく、早いものから順に着手するのが現実的です。固定費の見直しは翌月から効きますが、転職は半年単位でかかります。
副業を選択肢に入れるなら、どの種類が合うかで結果が変わります。副業ジャンル診断で向き不向きを確認できます(無料・登録不要)。
伝え方 ―「給料が少ない」と言わずに共有する
最後に伝え方です。収入の額を指摘すると、本人の評価として受け取られます。これは意図に関係なくそうなります。
言い換えの方向はひとつだけです。人ではなく数字を主語にすること。
- ✕「もっと稼げないの?」 → 本人への評価
- ○「今のままだと月2万円足りない計算になった」 → 家計の状態
差額という1つの数字にしておくと、責める形になりません。そして4つの手段を並べれば、「夫が何とかする問題」から「二人で埋める問題」に変わります。
相手の働き方そのものについて話す段階になったら、切り出し方をこちらでまとめています → 旦那に転職してほしいときの言い方
よくある質問
平均年収と比べるのは意味がないのですか?
目安にはなりますが、判断の基準には向きません。公表されている平均給与は全年齢・全業種・全地域をまとめた額面の平均であり、手取りではないためです。また平均は一部の高い数値に引き上げられる性質があるので、多くの人の実感とはずれます。比べるなら平均ではなく、自分の家の必要額と比べるほうが答えが出ます。
手取りはどうやって出せばいいですか?
給与明細の差引支給額が手取りです。毎月変動する場合は直近3か月の平均を取り、賞与がある場合は年間の合計を12で割って足すと月あたりの目安になります。額面から所得税・住民税・社会保険料が引かれるため、額面と手取りには差があります。
収入を増やすのと支出を減らすのはどちらが先ですか?
効果が出るまでの時間が違うため、両方を並行して考えるのが現実的です。固定費の見直しは翌月から効果が出る一方、転職や就労は時間がかかります。まず差額がいくらなのかを出し、その金額を埋める手段として両方を並べて比べます。
夫に「給料が少ない」と言ってもいいですか?
収入の指摘は本人の評価として受け取られやすく、話し合いになりにくい表現です。金額そのものではなく、家計の必要額と現状の差額という形で共有すると、責める形になりにくくなります。数字は二人が同じものを見るための材料として使います。
まとめ
- 平均年収と比べても答えは出ない。額面であり、全年齢・全業種の混合だから
- 平均は高い数値に引っ張られるので、多くの人が「平均より下」になる
- 比べる相手は平均ではなく、自分の家の必要額
- 手取りは給与明細の差引支給額。賞与は年間合計を12で割って足す
- 手取り − 毎月の支出 = 差額。ここで問題の性質が3つに分かれる
- 毎月マイナス/ほぼゼロ/目標に届かない、で対応はまったく違う
- 打てる手は固定費・配偶者の就労・副業・転職の4つ
- 効果が出るまでの時間が違うので、早いものから順に着手する
- 伝えるときは人ではなく数字を主語にする
まずは手取りをはっきりさせるところからです。額面しか分からない場合は、こちらで計算できます。
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あわせて確認しておきたいこと
- 副業ジャンル診断 — 収入の柱を足す方向で考える場合に
- 転職エージェント診断 — 本人が転職を考える段階になった場合に
- 給付金・補助金診断 — 使える制度が残っていないかの確認に
- 保険の見直し診断 — 固定費の中で保険料が大きい場合に