何かあったときのことを考えると不安なのに、「保険は無駄」「まだ元気だから」で話が終わってしまう。この記事では、その話し合いを商品の話から、金額の話へ移す手順を扱います。結論から言うと、先に見るべきは保険商品ではなく公的保障のほうです。
- 医療費が高額になったときに効く公的制度
- 働けなくなったときに出る給付とその金額
- 公的保障を引いて「不足額」を出す手順
- 反発されにくい切り出し方
結論:先に公的保障を確認する。話が変わります
「保険に入ってほしい」と切り出すと、まず保険料という支出の話になります。ここで反対されるのは自然なことです。毎月出ていくお金が増える提案だからです。
順番を変えます。先に、公的な保障でどこまで賄えるかを二人で確認する。そのうえで足りない金額を出す。こうすると、話が「入るか入らないか」から「いくら足りないか」に変わります。
この順番には副次的な効果もあります。夫側が「保険は無駄」と言う理由のひとつに、公的保障で足りると思っているケースがあります。実際にどこまで効くのかを一緒に確認すれば、その認識も同時に揃います。
公的保障1:医療費が高額になったとき
高額療養費制度があります。医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。
押さえておく点は3つです。
- 上限額は年齢と所得水準で分かれる — 一律の金額ではありません
- ひと月単位で計算する — 月をまたぐ入院では、それぞれの月で判定します
- 多数回該当という軽減がある — 直近12か月に該当した月が3か月以上ある場合、4か月目からは上限額がさらに下がります
つまり、医療費が青天井にかかるわけではありません。ここを知らないまま医療保険の保障額を決めると、過剰になりやすい部分です。
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html
公的保障2:働けなくなったとき
健康保険の被保険者であれば傷病手当金があります。こちらは金額の計算式がはっきりしています。
支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3
支給期間
支給を開始した日から通算して1年6か月
おおまかに言えば、月収のおよそ3分の2が、通算1年6か月までという形です。ここも「働けなくなったら収入がゼロになる」わけではない、という前提になります。
逆に言えば、残りの3分の1と、1年6か月を超えた部分が空いているということでもあります。この空いている範囲が、民間の保険で埋める候補になります。
出典:全国健康保険協会「傷病手当金」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html/加入している健康保険によって取り扱いが異なる場合があります。
不足額の出し方
公的保障の範囲が分かったら、差額を出します。考え方はこれだけです。
「出ていく金額」は、世帯の状況で変わります。住まいが賃貸か持ち家か(団体信用生命保険の有無)、子どもが何人でこれから何年教育費がかかるか、配偶者に収入があるか。他の家庭と同じ金額が正解になることはまずありません。
この式で出した差額を提示すると、話が具体的になります。「不安だから入ってほしい」ではなく「この金額が空いている」という形になるためです。
世帯の状況から、どのカテゴリの保障を優先して考えるべきかは保険の見直し診断で確認できます(無料・登録不要)。手取りの把握には手取り年収シミュレーターが使えます。
切り出し方 ― 商品名を出さない
最後に伝え方です。避けたいのは次の形です。
- ✕「この保険に入ってほしい」 → 支出を増やす提案として受け取られる
- ✕「もしものときどうするの」 → 不安を根拠にした話は反論されやすい
- ○「うちって、何かあったときいくら出るのか調べてみたい」 → 共同作業の提案になる
3番目は、相手に何かを求めていません。調べる作業に誘っているだけなので断る理由がありません。そして調べた結果として差額が出れば、その数字が話をしてくれます。
「保険は無駄」と考えている人ほど、公的保障の話には乗ってきやすい傾向があります。自分の考えを裏づける材料になると思えるからです。実際に調べれば、賄える部分と空いている部分の両方が見えます。
よくある質問
医療費が高額になったとき、公的な保障はありますか?
高額療養費制度があります。医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月で上限額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。上限額は年齢と所得水準によって分かれます。また直近12か月の間に該当した月が3か月以上ある場合、4か月目からは上限額がさらに軽減される多数回該当という仕組みもあります。
病気やケガで働けなくなったときの公的な保障はありますか?
健康保険の被保険者であれば傷病手当金があります。支給期間は支給を開始した日から通算して1年6か月で、1日あたりの金額は支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額を30日で割り、その3分の2にあたる額です。要件や手続きは加入している健康保険にご確認ください。
必要な保障額はどうやって決めればいいですか?
万一のときに出ていく金額から、公的な給付と貯蓄で賄える金額を引いた差額で決まります。この差額を出さずに商品を比べると、必要以上の保障を上乗せすることになりがちです。世帯構成や住まいの状況で変わるため、他の家庭と同じ金額が正解になるとは限りません。
夫にどう切り出せば話が進みますか?
「保険に入って」と商品の話から入ると、保険料という支出の話になり反発されやすくなります。先に公的保障で賄える範囲を二人で確認し、そのうえで足りない金額を出す順番にすると、保険に入るかどうかではなく、いくら足りないかという話になります。
まとめ
- 「保険に入って」は支出を増やす提案なので、反対されるのが自然
- 先に公的保障を確認すると、話が「いくら足りないか」に変わる
- 医療費には高額療養費制度。上限は年齢と所得で分かれ、多数回該当の軽減もある
- 働けないときは傷病手当金。おおよそ月収の3分の2が通算1年6か月まで
- 残りの3分の1と、1年6か月を超える部分が空いている範囲
- 必要額=出ていく金額 −(公的給付+貯蓄)
- 住まい・子どもの人数・配偶者の収入で必要額は変わる
- 切り出すときは商品名を出さず「調べてみたい」と共同作業に誘う
まずはどのカテゴリを優先して考えるべきかを確認するところからです。
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あわせて確認しておきたいこと
- 給付金・補助金診断 — 使える公的制度が他にないかの確認に
- 手取り年収シミュレーター — 保険料を払う余力を見るために
- 旦那の給料が少ないと感じたら — 家計全体の差額を出す手順