産後の数週間をひとりで乗り切れる自信がない。でも「うちは無理」「収入が減る」と言われると、それ以上言えなくなる——この記事は、その反論に対して制度の側から答えを用意するためのものです。感情ではなく数字で話せる材料を並べます。
- 育休中の収入が実際にはどうなるのか
- 2025年4月に始まった上乗せの給付
- 「手取り10割相当」と言われる理由
- 職場を理由に渋られたときの整理の仕方
結論:「収入が減る」は、いまの制度では前提が変わっている
育休を渋る理由でいちばん多いのが収入の不安です。ただ、この点については制度が変わりました。
育児休業給付に加えて、2025年4月に「出生後休業支援給付」が創設されています。これは、子どもの出生直後の一定期間内に、原則として両親がともに14日以上の育児休業を取得する場合、最大28日間、休業開始前の賃金の13%が上乗せされる仕組みです。
この2つを合わせると、支給額は休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 80%になります。
出典:厚生労働省「育児休業等給付について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html
なぜ「80%=手取り10割相当」と言われるのか
80%と聞くと2割減るように見えますが、厚生労働省の資料では、この額が手取り10割相当になると説明されています。理由は3つあります。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 社会保険料の免除 | 育児休業中は申し出により健康保険・厚生年金保険料が免除されます |
| 雇用保険料の負担なし | 勤務先から給与が支給されない場合、雇用保険料の負担がありません |
| 非課税 | 育児休業等給付は課税されません |
普段の給与は、額面から社会保険料と税金が引かれて手取りになります。育休中の給付はその控除がほぼかからないため、額面の80%でも、手元に残る金額としては普段とほぼ変わらない、という関係になります。
ここが伝わっていないケースは多くあります。「8割しかもらえない」と「手取りは変わらない」では、判断が変わって当然です。
出典:厚生労働省「出生後休業支援給付制度が始まっています」https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001599643.pdf/実際の支給額・可否は勤務先またはハローワークにご確認ください。
要件で押さえておくところ
上乗せの13%には要件があります。ここを外すと80%にはなりません。
- 原則として両親がともに14日以上の育児休業を取得すること — 片方だけでは要件を満たしません
- 子どもの出生直後の一定期間内であること — いつでもよいわけではありません
- 上乗せの対象は最大28日間 — 育休期間すべてが13%上乗せになるわけではありません
逆に言えば、14日から要件を満たします。「半年も休めない」という反論に対しては、この日数が現実的な着地点になることがあります。
要件に当てはまるかどうかは、厚生労働省の出生後休業支援給付の簡易診断(要件確認)ツールで確認できます。
「職場に迷惑がかかる」と言われたとき
収入の話が片付くと、次に出てくるのがこれです。ここは制度の話とは別なので、分けて考えます。
整理の順番はこうです。
- 1. 制度上取得できるか(要件の確認)
- 2. 何日なら現実的か(14日から要件を満たす)
- 3. どの時期なら業務の影響が小さいか
- 4. 職場にいつ伝えるか
「取る・取らない」の二択にすると話が止まります。日数と時期という調整できる変数に分解すると、前に進みやすくなります。
育休以外にも、出産・子育ての時期に使える制度は複数あります。給付金・補助金診断で、5問に答えると状況に近い制度から順に確認できます(無料・登録不要)。
よくある質問
夫が育休を取ると収入はどれくらい減りますか?
育児休業給付と出生後休業支援給付を合わせると、支給額は休業開始時賃金日額×支給日数×80%になります。さらに育児休業中は申し出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が支給されない場合は雇用保険料の負担がなく、育児休業等給付は非課税です。これらを加味すると、この80%の額は手取り10割相当になるとされています。
出生後休業支援給付とは何ですか?
2025年4月に創設された給付です。子どもの出生直後の一定期間内に、原則として両親がともに14日以上の育児休業を取得する場合、最大28日間、休業開始前の賃金の13%が育児休業給付に上乗せされます。両親がともに取得することが要件になっている点が特徴です。
夫が「職場に迷惑がかかる」と言って取りたがりません。
制度の話と職場の事情は分けて考えると整理しやすくなります。制度上取得できるかどうかを先に確認し、そのうえで取得時期や日数を調整する余地がないかを検討します。最大28日分の上乗せ給付は両親がともに14日以上取得することが要件なので、短期間の取得でも要件を満たす場合があります。
要件を満たしているか自分で確認できますか?
厚生労働省が出生後休業支援給付の簡易診断ツールを公開しており、要件の確認に使えます。実際の支給の可否や金額については、勤務先またはハローワークにご確認ください。
まとめ
- 「収入が減るから無理」は、いまの制度では前提が変わっている
- 2025年4月に出生後休業支援給付が創設された
- 原則として両親がともに14日以上取得すると、最大28日間、賃金の13%が上乗せ
- 育児休業給付と合わせると休業開始時賃金日額の80%
- 社会保険料の免除・雇用保険料の負担なし・非課税を加味すると手取り10割相当とされる
- 上乗せは片方だけの取得では要件を満たさない
- 14日から要件を満たすので、長期でなくても現実的な着地点になる
- 職場の事情は制度と分けて、日数と時期に分解して話す
使える制度は育休だけではありません。出産・子育ての時期に該当しうる制度をまとめて確認できます。
5問に答えるだけ。無料・登録不要で、入力内容は端末の中だけで処理されます。
あわせて確認しておきたいこと
- 手取り年収シミュレーター — 育休前の手取りを把握して比べるために
- 彼氏に転職してほしい…結婚前に確かめたい住宅ローンと育休のタイミング — 転職と育休取得の時期の関係について
- 保険の見直し診断 — 家族が増えるタイミングでの見直しに