「そろそろ働いてくれない?」と言われた。責められているようで、うまく返せない。かといって家事も育児もある中で、どこまで働けるのかも自分でよく分からない——この記事は、その状態から話し合えるところまで持っていくための整理です。
- いくら足りないのかを先に出す方法
- 社会保険の加入要件が2026年10月に変わる予定であること
- 働く時間をどう決めるか
- 話し合いを進めるための順番
結論:「働くかどうか」を議題にしない
この話がこじれるのは、議題が「働くか、働かないか」になっているからです。この形だと、どちらが正しいかの話になり、決着がつきません。
議題を2つに分けます。
- いくら必要なのか(金額の話)
- どういう働き方ならできるのか(条件の話)
この2つはどちらも調べれば答えが出ます。感情で決める部分がほとんどありません。金額と条件が決まれば、働くかどうかは自動的に決まります。
整理1:いくら足りないのかを出す
まず金額です。「なんとなく足りない」で話すと、相手の言う金額と自分の思う金額がずれたまま進みます。
ここで出た差額が、必要な収入の目安になります。毎月マイナスなのか、ゼロ近辺なのか、プラスだが貯蓄の目標に届かないのかで、必要な金額はまったく変わります。
この数字を出すと、話が変わることがあります。「働いてほしい」の裏にある不安が、実は固定費の見直しで解決する規模だったというケースもあるためです。逆に、思っていたより大きな金額が必要だと分かることもあります。どちらにしても、先に知っておくべき数字です。
額面しか分からない場合は手取り年収シミュレーターで手取りを出せます。差額の出し方と打ち手の分け方は旦那の給料が少ないと感じたらにまとめています。
整理2:制度の前提が2026年10月に変わる予定
ここは知らないと判断を誤る部分です。いわゆる「年収の壁」の条件が、いま動いています。
厚生労働省によると、従業員50人超の企業に週20時間以上で勤務する場合、所定内賃金が月額8.8万円以上(年収換算で約106万円)になると厚生年金保険等に加入することになっています。ただし、この月額8.8万円以上という賃金要件は、最低賃金の状況を踏まえて撤廃されることになっており、令和8年(2026年)10月に撤廃する予定とされています。
さらに、従業員50人超の企業を対象とする企業規模要件についても、段階的に縮小・撤廃されることになっています。
| 要件 | 今後の扱い |
|---|---|
| 賃金要件(月額8.8万円以上) | 令和8年10月に撤廃する予定 |
| 企業規模要件(従業員50人超) | 段階的に縮小・撤廃 |
つまり、「106万円を超えないように働く」という考え方の前提そのものが変わります。ネット上の記事には改正前の前提で書かれたものが多く残っているため、働き方を決める前に必ず最新の内容を確認してください。
出典:厚生労働省「『年収の壁』への対応」https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html/「社会保険の加入対象の拡大について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html
整理3:時間は「作れる」のではなく「取り合う」もの
3つ目は時間です。ここでいちばん多い失敗が、働く時間だけを決めて、その時間をどこから捻出するかを決めないことです。
1日は24時間しかないので、働く時間を足すなら、どこかを減らすか、誰かが引き受けるしかありません。決めるべきは次の3点です。
- 子どもの預け先 — 保育の枠、学童、送り迎えの時間帯
- 家事の分担をどう変えるか — 何を減らし、何を夫が引き受けるか
- 働けない曜日・時間帯 — 先に決めておくと、仕事の探し方が絞れる
ここを曖昧にしたまま始めると、家事も育児も抱えたまま仕事が増えるだけになり、続きません。「働いてほしい」と言う側にも、分担を変える負担が発生するという点は、はっきりさせておく必要があります。
話し合いの順番
3つの整理ができたら、この順で話します。
- 1. 差額はいくらか(金額の共有)
- 2. 週に何時間なら確保できるか(分担の話を含む)
- 3. その時間で、その金額に届く働き方は何か
1と2が決まると、3は選択肢の比較になります。ここまで来れば「働いてほしい」「働きたくない」という対立ではなく、条件に合う働き方を一緒に探す作業になります。
時間の制約が大きい場合、在宅でできる仕事から始める選択肢もあります。ただし報酬額ではなく時間単価で見ることが必要です。準備ややり取りにかかる時間まで含めて1時間あたりいくらになるかを出さないと、必要な金額に届きません。
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よくある質問
夫に働いてほしいと言われたら、まず何をすればいいですか?
いくら足りないのかを先に出すことをおすすめします。手取りから毎月の支出を引いた差額が分かると、必要な収入の目安が決まります。金額が決まらないまま働くかどうかを話すと、感情の応酬になりやすく結論が出にくくなります。
いわゆる106万円の壁はこれからも同じですか?
変わる予定です。厚生労働省によると、所定内賃金が月額8.8万円以上とする賃金要件は、最低賃金の状況を踏まえて撤廃されることになっており、令和8年10月に撤廃する予定とされています。また従業員50人超の企業を対象とする企業規模要件も段階的に縮小・撤廃されることになっています。働き方を決める前に最新の内容をご確認ください。
働く時間はどうやって決めればいいですか?
必要な収入額と、確保できる時間の両方から決めます。子どもの預け先、送り迎えの時間、家事の分担をどう変えるかまで含めて考えないと、始めてから続けられなくなります。働く時間を作るのは働く側だけの課題ではないため、分担の話までを一緒に決めておくことが必要です。
在宅でできる仕事から始めるのはどうですか?
時間の制約が大きい場合は選択肢になります。ただし報酬額だけでなく、準備ややり取りにかかる時間を含めた時間単価で見ることが大切です。始めやすい仕事ほど単価が低い傾向があるため、必要な収入額に届くかを先に確認してください。
まとめ
- 「働くか働かないか」を議題にすると、正しさの争いになって決着しない
- 議題は「いくら必要か」と「どんな働き方ならできるか」の2つに分ける
- 手取り − 支出 = 差額。これが必要な収入の目安になる
- 差額を出すと、固定費の見直しで足りる規模だと分かることもある
- 社会保険の賃金要件(月8.8万円)は令和8年10月に撤廃する予定
- 企業規模要件(従業員50人超)も段階的に縮小・撤廃される
- 「106万円を超えないように」という前提自体が変わる
- 働く時間は作れない。預け先と家事分担をセットで決める
- 在宅の仕事は報酬額ではなく時間単価で見る
金額と時間が決まったら、あとはその条件に合う働き方を探すだけです。
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あわせて確認しておきたいこと
- 手取り年収シミュレーター — 世帯の手取りと差額の把握に
- 副業の税金シミュレーター — 収入が増えたときの税額の目安に
- 転職エージェント診断 — 働き方を本格的に変える場合の相談先に