失業手当は「もらい切ってから就職したほうが得」と思われがちですが、実際には早く就職したほうが受け取れる一時金があります。それが再就職手当です。残っている失業手当の日数に応じて、その60%または70%がまとめて支給されます。この記事では、もらえる条件、計算例、申請の流れ、見落としやすい「就業促進定着手当」までまとめます。
- 残日数×基本手当日額×60%または70%という計算式と例
- 所定給付日数の3分の1以上を残すなど、8つの条件
- 就職日の翌日から1か月以内という申請期限と必要書類
- 再就職後に賃金が下がった場合の「就業促進定着手当」
制度の基本情報
- 実施主体
- 厚生労働省(ハローワーク)
- 給付・助成内容
- 支給残日数×給付率(60%または70%)×基本手当日額(基本手当日額の上限は年齢区分ごとに設定)
- 対象条件
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある受給資格者が、1年を超えて勤務することが確実な安定した職業に就いた場合。
- 申請方法
- 再就職後、「再就職手当支給申請書」に必要事項を記入し事業主の証明を得て、管轄ハローワークへ提出する。
2026年7月29日 時点の公式情報をもとに整理しています。金額・期限は改正されることがあるので、申請前に公式サイトでご確認ください。
結論:残っている日数の60%または70%が一時金でもらえる
再就職手当の計算式はひとつです。
| 再就職手当 | = 支給残日数 × 基本手当日額 × 給付率(60%または70%) |
|---|
給付率は、就職した時点でどれだけ日数が残っているかで決まります。
- 所定給付日数の3分の2以上を残して就職 → 70%
- 所定給付日数の3分の1以上を残して就職 → 60%
- 3分の1未満しか残っていない → 支給なし
計算例:所定給付日数90日、基本手当日額5,000円の場合
| 就職のタイミング | 残日数 | 給付率 | 再就職手当 |
|---|---|---|---|
| 受給開始から10日で就職 | 80日 | 70% | 28万円 |
| 受給開始から30日で就職 | 60日 | 70% | 21万円 |
| 受給開始から50日で就職 | 40日 | 60% | 12万円 |
| 受給開始から65日で就職 | 25日 | — | 支給なし(3分の1未満) |
※ 再就職手当の計算に使う基本手当日額には、年齢区分ごとの上限があります。基本手当日額が高い人は、上限額で計算されます。
「90日分をもらい切る」より「10日で就職して28万円をもらい、給料も得る」ほうが、手元に残る金額は大きくなります。早く決まるほど率も日数も有利になるのがこの制度の設計です。
もらえる条件:8つすべてを満たす
- 受給手続き後、7日間の待期期間が終わってから就職したこと
- 所定給付日数の3分の1以上を残して就職したこと
- 離職前の会社(関連会社を含む)への再就職ではないこと
- 1年を超えて勤務することが確実であること。契約期間が1年以下で更新の見込みがない仕事は対象外
- 雇用保険の被保険者になること。原則として週20時間以上の勤務
- 自己都合退職などで給付制限がある人は、待期満了後の最初の1か月はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職したこと。1か月を過ぎれば、自分で見つけた仕事でも対象
- 過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと
- 受給資格の決定前に採用が内定していた会社ではないこと
6番目は見落としやすい条件です。自己都合退職で給付制限がある人が、待期満了後1か月以内に求人サイトで自分で見つけて就職すると、再就職手当は出ません。その期間だけはハローワーク経由か、職業紹介事業者(転職エージェントなど)経由で決めると対象になります。
また、雇用保険に入る形の就職が条件なので、フリーランスや個人事業主として独立した場合は対象外です。ただし、開業の場合は要件を満たせば別途対象になる場合があるので、ハローワークに確認してください。
申請の流れ:就職日の翌日から1か月以内にハローワークへ
- 就職が決まったら、就職日の前日までにハローワークで「就職の届出」をする。採用証明書を提出し、失業認定を受けます。この時点で再就職手当支給申請書を受け取ります
- 就職後、申請書に会社の証明をもらう。事業主記入欄があるので、人事や総務に記入・押印を依頼します
- 就職日の翌日から1か月以内に、申請書と受給資格者証をハローワークへ提出する。郵送でも受け付けています
- 審査後、指定口座に振り込まれる。審査には1か月程度かかり、ハローワークから会社へ在籍確認が入ることがあります
1か月の期限を過ぎても、時効の2年以内であれば申請できます。ただし手続きが遅れると支給も遅れるので、入社後すぐに会社に証明を依頼しておくのが確実です。再就職手当は非課税で、確定申告の必要はありません。
再就職後に給料が下がったら「就業促進定着手当」
再就職手当をもらった人が、再就職先に6か月以上勤務し、その6か月の賃金が離職前の賃金より低かった場合、差額の6か月分が「就業促進定着手当」として支給されます。
| 就業促進定着手当 | =(離職前の賃金日額 − 再就職後6か月の賃金日額)× 再就職後6か月の賃金支払基礎日数 |
|---|---|
| 上限 | 支給残日数 × 基本手当日額 × 40%(再就職手当が70%だった人は30%) |
たとえば離職前が日額1万2,000円、再就職後が日額1万円、6か月の賃金支払基礎日数が120日なら、差額2,000円×120日で24万円(上限の範囲内)です。申請は再就職から6か月経過した日の翌日から2か月以内で、賃金が分かる書類を添えてハローワークに提出します。
「給料が下がるから転職を迷う」場合に、この手当を含めて考えると判断が変わることがあります。再就職手当の申請時に、ハローワークで案内を受けておいてください。
使う前に知っておきたい注意点
- 待期期間中(受給手続き後7日間)に就職すると対象外。内定があっても入社日は待期満了後にする必要があります
- 就職の届出をせずに働き始めると、失業認定に影響する。就職日の前日までに必ずハローワークに連絡してください
- 短期・試用期間だけの契約は対象にならないことがある。「1年を超えて雇用されることが確実」かどうかは契約内容で判断されます
- 受給後すぐに辞めても返還は原則不要。ただし過去3年以内に受給していると次の再就職手当は受けられません
- アルバイトや派遣でも、条件を満たせば対象。雇用保険に入り、1年を超える見込みがあれば雇用形態は問いません
よくある質問
自分で求人サイトから応募して決まった仕事でも再就職手当はもらえますか?
多くの場合もらえます。ただし自己都合退職などで給付制限がある人は、待期期間満了後の最初の1か月だけは、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であることが条件です。その1か月を過ぎれば、自分で見つけた仕事でも対象になります。会社都合退職などで給付制限がない人は、最初から自分で見つけた仕事でも対象です。
再就職手当をもらった後、すぐに辞めたら返さないといけませんか?
原則として返還の必要はありません。再就職手当は「1年を超えて勤務することが確実」と判断された時点で支給されるもので、その後の退職で返還を求められることは通常ありません。ただし、過去3年以内に再就職手当を受けていると、次の再就職では手当を受けられません。
アルバイトや契約社員でも再就職手当の対象になりますか?
対象になります。条件は雇用形態ではなく、雇用保険の被保険者になること(原則週20時間以上)と、1年を超えて雇用されることが確実であることです。契約社員でも契約更新の見込みがあれば対象になります。契約期間が1年以下で更新の見込みがない場合は対象外です。
再就職手当は税金がかかりますか?
かかりません。雇用保険法に基づく給付なので、所得税・住民税ともに非課税です。確定申告で収入として申告する必要もありません。
他にも使える制度があるかもしれません
5つの質問に答えるだけで、あなたの状況に合いそうな給付金・補助金の候補を確認できます。無料・登録不要で、入力内容は端末の中だけで処理されます。
キャリアチェンジに合いそうな転職エージェントも、転職エージェント診断で確認できます →あわせて確認しておきたいこと
- 失業保険・再就職手当の計算シミュレーター — 受け取った日数を入れると、再就職手当の額が分かります
- 転職エージェント診断 — 給付制限中の1か月は職業紹介事業者経由の就職が条件になるので、相談先を診断できます
- 手取り年収シミュレーター — 再就職先の年収から手取りを計算し、離職前と比べられます
関連サービス
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出典
- ハローワークインターネットサービス「就職促進給付」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_stepup.html
- 厚生労働省「雇用保険制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/index_00003.html