退職後の給付金ガイド

基本手当(失業保険・失業手当)

雇用保険の被保険者が離職し、働く意思と能力があるのに就職できない「失業の状態」にあるときに支給される給付。「失業保険」「失業手当」「退職給付金」と呼ばれるのはこの制度のこと。

退職したときに真っ先に思い浮かぶ「失業保険」は、制度としては雇用保険の基本手当という名前です。「失業手当」「失業給付」「退職給付金」と呼ばれることもありますが、どれも同じこの制度を指しています。この記事では、もらえる条件・何日分もらえるか・いくらもらえるか・いつ振り込まれるかを、公式の数字だけで整理します。

  • 受給の条件は「離職前2年間に12か月以上」と「失業の状態にあること」の2つ
  • 所定給付日数は自己都合で90〜150日、会社都合で90〜330日
  • 基本手当日額の上限額と、4週間ごとに振り込まれる額の目安
  • 2025年4月1日以降の離職は、自己都合の給付制限が原則1か月に短縮された

制度の基本情報

求職者給付 全国対象
実施主体
厚生労働省(ハローワーク)
給付・助成内容
賃金日額の約50〜80%(60歳〜64歳は45〜80%)を所定給付日数90〜360日分。基本手当日額の上限は30歳未満7,450円・30歳以上45歳未満8,270円・45歳以上60歳未満9,110円・60歳以上65歳未満7,830円(2026年8月1日現在)
対象条件
離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あること(倒産・解雇等による特定受給資格者と、契約が更新されなかった等の特定理由離職者は、離職日以前1年間に通算6か月以上でも可)。ハローワークで求職の申込みをし、いつでも就職できる能力があるのに就職できない状態であること。病気・けが・妊娠・出産・育児ですぐに就職できない場合や、退職後しばらく休養する場合は対象外。65歳以上で離職した場合は基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象になる。
申請方法
離職後、会社から受け取る離職票とマイナンバー確認書類・本人確認書類等を持って住所地のハローワークで求職の申込みを行い、受給資格の決定を受ける。7日間の待期期間(正当な理由がない自己都合退職は、待期期間の後さらに原則1か月の給付制限)を経て、原則4週間ごとに失業の認定を受けて支給される。

公式サイトで最新情報を見る →

2026年9月27日 時点の公式情報をもとに整理しています。金額・期限は改正されることがあるので、申請前に公式サイトでご確認ください。

結論:条件は2つ、金額は「賃金の50〜80%」に上限がかかる

基本手当を受け取れるのは、次の2つをどちらも満たす人です。

1. 加入期間離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること
倒産・解雇等による離職(特定受給資格者)や、契約が更新されなかった等の離職(特定理由離職者)は、離職の日以前1年間に通算6か月以上でも可
2. 失業の状態ハローワークで求職の申込みを行い、就職しようとする意思と、いつでも就職できる能力があるのに職業に就けない状態にあること

2つめは見落としやすい条件です。ハローワークは次のような状態を「失業の状態ではない」として挙げています。

  • 病気やけがのため、すぐには就職できないとき
  • 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
  • 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
  • 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

金額は、離職前6か月に毎月きまって支払われた賃金(賞与は除く)の合計を180で割った「賃金日額」のおよそ50〜80%(60歳〜64歳は45〜80%)です。賃金の低い人ほど率が高くなります。

基本手当日額には年齢ごとの上限がある

賃金が高い人は、率ではなく上限額で決まります。失業の認定は原則4週間ごとなので、1回の振込は28日分です。

年齢区分基本手当日額の上限28日分(1回の振込)の上限
30歳未満7,450円208,600円
30歳以上45歳未満8,270円231,560円
45歳以上60歳未満9,110円255,080円
60歳以上65歳未満7,830円219,240円

※ 2026年8月1日現在の上限額。上限額は毎年8月1日に改定されます。28日分の欄は上限額×28日で計算した目安で、上限に達しない人の額はこれより少なくなります。

何日分もらえるか:自己都合は90〜150日、会社都合は最大330日

もらえる日数(所定給付日数)は、離職の理由・年齢・雇用保険に加入していた期間の3つで決まります。同じ勤続年数でも、辞めた理由で倍以上変わります。

自己都合など、一般の離職者

被保険者であった期間1年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
全年齢90日120日150日

※ 年齢に関係なく同じ日数です。加入期間が1年未満だと原則として受給資格がありませんが、特定理由離職者は6か月以上(離職以前1年間)で受給資格を得られ、90日となります。

倒産・解雇など(特定受給資格者・一部の特定理由離職者)

年齢1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日―
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

離職票に書かれた離職理由がこの表のどちらに当たるかで金額が大きく変わります。会社の書いた離職理由に納得できない場合は、ハローワークで異議を申し立てられます。

※ 障害のある方など就職が困難な方は、45歳未満で150〜300日、45歳以上65歳未満で360日となる区分があります。

いつからもらえるか:待期7日+自己都合は原則1か月

手続きをしてすぐ振り込まれるわけではありません。順番は次のとおりです。

待期求職の申込み後、失業の状態にある7日間は支給されません。離職理由に関係なく全員にあります。
給付制限正当な理由がない自己都合退職の場合、待期の後さらに原則1か月は支給されません(2025年4月1日以降に離職した人。2025年3月31日以前の離職は原則2か月)。
失業の認定原則4週間に1度ハローワークに行き、失業認定申告書を提出します。認定日から通常5営業日で口座に振り込まれます。

給付制限が3か月になる場合と、解除される場合

  • 3か月になる:離職日から遡って5年間のうち2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格の決定を受けている場合。自分の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)も3か月です。
  • 解除される:2025年4月以降に、リ・スキリングのために自ら教育訓練等を受けた(受けている)場合は、自己都合退職でも給付制限が解除されます。

会社都合(特定受給資格者)や、契約更新がなかった等の特定理由離職者には給付制限がなく、待期7日の後すぐに支給が始まります。

求職活動の実績が必要

認定を受けるには、認定対象期間中に原則2回以上の求職活動の実績が必要です(最初の認定日の対象期間は1回)。給付制限がある場合は、給付制限期間とその直後の認定対象期間をあわせて原則2回以上(給付制限が3か月の場合は原則3回以上)が必要になります。

申請の流れと持ち物

  1. 退職後、会社から雇用保険被保険者離職票(-1、-2)を受け取る(郵送されるほか、受け取りに行く場合もあります)
  2. 住所地を管轄するハローワークで求職の申込みを行い、離職票を提出して受給資格の決定を受ける
  3. 指定された日の雇用保険受給説明会に出席し、受給資格者証と失業認定申告書を受け取る
  4. 4週間ごとの失業認定日にハローワークへ行き、認定を受ける
  5. 認定日から通常5営業日で振込

最初の手続きに持っていくものは次のとおりです。

  • 雇用保険被保険者離職票(-1、-2)
  • マイナンバー確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のいずれか)
  • 身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等のうち1種類。無い場合は異なる2種類)
  • 写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm)※マイナンバーカードを提示すれば省略できます
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

会社から離職票が交付されない場合や、事業主が行方不明の場合は、住所地を管轄するハローワークに相談できます。

「退職給付金」という名前で紹介されているものについて

「退職給付金を最大◯か月・◯百万円受け取れる」といった広告を見たことがあるかもしれません。国民生活センターの資料でも、この制度が「失業保険」「失業手当」「失業給付」「退職給付金」などと呼ばれることがあると説明されています。つまり「退職給付金」という別の制度があるわけではなく、この基本手当のことです。

受給額や期間は退職理由・勤務年数・賃金で決まり、ハローワークの審査で確定します。第三者に依頼して増えるものではありません。国民生活センターは、受給額が増えると期待して申請サポートを契約したもののそうならなかった、解約時に高額な違約金を請求された、不調がないのに指定のクリニックの受診を指示されたといった相談が寄せられていると公表しています。

事実と異なる内容で申請すると不正受給になります。その場合、以後の支給が止まり、受け取った額の返還に加えてその額の2倍以下の納付が命じられます(いわゆる「3倍返し」)。申請は自分でハローワークに行えば無料です。

詳しくは 「退職給付金」という制度はありません|正体と、自分で受け取る手順 にまとめました。

よくある質問

自己都合で辞めても失業保険はもらえますか?

もらえます。離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あり、失業の状態にあれば対象です。会社都合との違いは、もらえる日数と、支給が始まるまでの期間です。自己都合は所定給付日数が90〜150日で、7日間の待期の後さらに原則1か月の給付制限があります(2025年4月1日以降に離職した場合)。

退職後すぐには働けない状態です。失業保険はもらえませんか?

すぐに就職できない状態では基本手当は受け取れませんが、受給期間を延長できます。受給期間は原則として離職日の翌日から1年間ですが、病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由で引き続き30日以上働くことができないときは、その日数だけ受給期間を延長でき、延長できる期間は最長3年です。働けるようになってから受け取る形になります。なお、在職中から続く病気やけがで働けない場合は、健康保険の傷病手当金の対象になることがあります。

受給中にアルバイトをしてもいいですか?

できますが、失業認定申告書に必ず申告してください。働いた日数や収入によって、その日の分が支給されなかったり、支給が後ろにずれたりします。パート・アルバイト・日雇・試用期間も含めて、就労したことを申告しないのは不正受給にあたります。判断に迷う働き方は、事前にハローワークに確認するのが確実です。

失業保険に税金はかかりますか?

かかりません。雇用保険の失業等給付は非課税で、所得税・住民税の対象外です。確定申告で収入として申告する必要もありません。ただし国民健康保険料や国民年金保険料は別に発生するので、離職後の支出としては見込んでおく必要があります。

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