会社を辞めた後の健康保険は、任意継続(会社の健康保険を最長2年続ける)・国民健康保険・家族の扶養の3つから選びます。扶養に入れるなら保険料はかからないので最優先、入れないなら任意継続と国保の安い方です。
2026年度の協会けんぽの任意継続は、保険料の上限の基になる標準報酬月額が32万円です。月給がこれより多かった人も32万円で計算するので、収入が多かった人ほど任意継続が割安になりやすく、国保は前の年の所得で決まるので2年目に安くなることが多い、というのが基本の形です。
3つの違い
| 任意継続 | 国民健康保険 | 家族の扶養 | |
|---|---|---|---|
| 入れる人 | 退職日まで2か月以上続けて加入していた人 | 他の健康保険に入らない人 | 年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)などの条件を満たす家族 |
| 保険料の決まり方 | 退職時の標準報酬月額(上限32万円)×都道府県の保険料率。会社負担がなくなり全額自己負担 | 前の年の所得と加入者の人数で市区町村ごとに計算 | かからない |
| 家族 | 扶養家族は追加の保険料なし | 家族1人ごとに均等割がかかる | — |
| 期限 | 資格を失った日(退職日の翌日)から20日以内に申出 | 資格を失った日から14日以内に届出 | 勤め先を通じて届出 |
| 加入期間 | 最長2年。途中でやめる申出もできる | 制限なし | 条件を満たす間 |
任意継続の保険料は原則2年間変わりません(都道府県の保険料率の改定や、40歳・65歳で介護分が変わるときは変わります)。
任意継続の保険料の上限(月額・2026年度)
月給が31万円以上だった人の保険料です(標準報酬月額32万円で計算)。2026年4月分から子ども・子育て支援金0.23%が加わり、40〜64歳はさらに介護保険料1.62%がかかります。
| 都道府県 | 40歳未満・65歳以上 | 40〜64歳 |
|---|---|---|
| 北海道 | 33,632円 | 38,816円 |
| 青森県 | 32,256円 | 37,440円 |
| 岩手県 | 31,168円 | 36,352円 |
| 宮城県 | 33,056円 | 38,240円 |
| 秋田県 | 32,768円 | 37,952円 |
| 山形県 | 31,936円 | 37,120円 |
| 福島県 | 31,136円 | 36,320円 |
| 茨城県 | 31,200円 | 36,384円 |
| 栃木県 | 32,160円 | 37,344円 |
| 群馬県 | 31,712円 | 36,896円 |
| 埼玉県 | 31,680円 | 36,864円 |
| 千葉県 | 31,872円 | 37,056円 |
| 東京都 | 32,256円 | 37,440円 |
| 神奈川県 | 32,480円 | 37,664円 |
| 新潟県 | 30,208円 | 35,392円 |
| 富山県 | 31,424円 | 36,608円 |
| 石川県 | 31,776円 | 36,960円 |
| 福井県 | 31,808円 | 36,992円 |
| 山梨県 | 31,296円 | 36,480円 |
| 長野県 | 31,552円 | 36,736円 |
| 岐阜県 | 32,096円 | 37,280円 |
| 静岡県 | 31,488円 | 36,672円 |
| 愛知県 | 32,512円 | 37,696円 |
| 三重県 | 32,000円 | 37,184円 |
| 滋賀県 | 32,352円 | 37,536円 |
| 京都府 | 32,384円 | 37,568円 |
| 大阪府 | 33,152円 | 38,336円 |
| 兵庫県 | 33,120円 | 38,304円 |
| 奈良県 | 32,448円 | 37,632円 |
| 和歌山県 | 32,928円 | 38,112円 |
| 鳥取県 | 32,288円 | 37,472円 |
| 島根県 | 32,544円 | 37,728円 |
| 岡山県 | 32,896円 | 38,080円 |
| 広島県 | 32,032円 | 37,216円 |
| 山口県 | 33,216円 | 38,400円 |
| 徳島県 | 33,504円 | 38,688円 |
| 香川県 | 32,800円 | 37,984円 |
| 愛媛県 | 32,672円 | 37,856円 |
| 高知県 | 32,896円 | 38,080円 |
| 福岡県 | 33,088円 | 38,272円 |
| 佐賀県 | 34,496円 | 39,680円 |
| 長崎県 | 32,928円 | 38,112円 |
| 熊本県 | 32,992円 | 38,176円 |
| 大分県 | 32,992円 | 38,176円 |
| 宮崎県 | 32,000円 | 37,184円 |
| 鹿児島県 | 33,152円 | 38,336円 |
| 沖縄県 | 30,944円 | 36,128円 |
月給が31万円未満の人は、退職時の標準報酬月額で計算するので、この表より安くなります。健康保険組合の任意継続は、組合ごとに保険料率と上限が違います。
東京23区の国保と比べると(50歳・単身の例)
| 前の年の給与収入 | 任意継続(東京都) | 国保 | 国保(会社都合などの軽減) | 国保(家族3人) |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 308,880円 | 291,700円 | 65,300円 | 394,800円 |
| 400万円 | 393,120円 | 388,000円 | 119,600円 | 538,000円 |
| 500万円 | 449,280円 | 492,000円 | 167,800円 | 642,100円 |
| 600万円 | 449,280円 | 596,100円 | 199,000円 | 746,200円 |
| 800万円 | 449,280円 | 822,500円 | 267,000円 | 969,200円 |
年額。任意継続は月給を年収÷14として計算(上限32万円)。国保は東京23区の令和8年度の料率(医療分7.51%・47,600円、後期高齢者支援金分2.8%・17,600円、子ども・子育て支援金分0.27%・1,873円、介護分2.43%・17,800円)。家族3人は、収入のない40〜64歳の配偶者と高校生以下の子1人を加えた場合。
前の年の給与が多い人は、1年目は任意継続の方が安いことが多く、会社都合などで辞めた人は国保の軽減で逆転することがあります。家族が多いほど、1人ごとに均等割がかかる国保は高くなります。
会社都合などで辞めた人は、国保が大きく安くなる
倒産・解雇などの特定受給資格者や、雇い止めなどの特定理由離職者で、離職時に65歳未満の人は、国保の保険料を計算するときに前の年の給与所得を100分の30として扱います。期間は離職日の翌日の属する月から、その翌年度の末までです。
雇用保険受給資格者証の離職理由コードが11・12・21・22・31・32(特定受給資格者)か、23・33・34(特定理由離職者)の人が対象で、市区町村の国保の窓口に受給資格者証を持って届け出ます。
2年目は国保に切り替える手もある
国保の保険料は前の年の所得で決まるので、年の途中で退職すると、2年目(退職した年の所得で計算する年度)は1年目より下がります。任意継続は申し出ればやめられるので、1年目は任意継続、2年目は国保という選び方ができます。
所得が少ない世帯は、国保の均等割が7割・5割・2割軽減されます(2026年度の基準は、世帯の所得が43万円以下で7割、43万円+31万円×加入者数以下で5割、43万円+57万円×加入者数以下で2割。給与・年金の所得がある人が2人以上なら1人につき10万円を足す)。
家族の扶養に入れるか
- 年収が130万円未満(60歳以上か障害者は180万円未満)
- 同居なら、扶養する人の年収の半分未満(別居なら、仕送りの額より少ない)
年収には、給与のほか公的年金(老齢・障害・遺族)や雇用保険の失業給付、傷病手当金も数えます。失業給付は日額で判定する健康保険が多く、日額が130万円÷360日を超える(60歳以上は180万円÷360日を超える)間は扶養に入れないのが一般的です。基準は加入している健康保険で確かめてください。
退職後の保険料・年金・貯蓄の見通しを、ファイナンシャルプランナーに無料で相談できるサービスもあります。
よくある質問
任意継続と国保はどちらが安いですか?
前の年の給与が多かった人は、1年目は任意継続が安いことが多いです(2026年度の協会けんぽは標準報酬月額32万円が上限)。会社都合などで辞めた人や、2年目で所得が下がった人は国保が安くなることがあります。家族が多いほど任意継続が有利です。
任意継続の保険料の上限はいくらですか?
2026年度の協会けんぽでは、標準報酬月額32万円で計算した額が上限です。東京都なら40歳未満で月32,256円、40〜64歳で月37,440円(子ども・子育て支援金を含む)。
任意継続の手続きはいつまでですか?
資格を失った日(退職日の翌日)から20日以内に、住所地の協会けんぽ支部に申出書を出します。退職日まで2か月以上続けて加入していたことが条件です。
任意継続は途中でやめられますか?
やめられます。やめたいと申し出れば資格を失うので、2年目から国保や家族の扶養に切り替えることができます。
会社都合で辞めると国保は安くなりますか?
離職時に65歳未満の特定受給資格者・特定理由離職者は、前の年の給与所得を100分の30として国保の保険料を計算します。市区町村の窓口に雇用保険受給資格者証を持って届け出ます。
出典
- 協会けんぽ「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/insurance_rate/rate_prefectures/r08 - 協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/news/r07_dec/1259.html - 協会けんぽ「よくあるご質問 任意継続 保険料について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/voluntary_continuation/005/ - 協会けんぽ「よくあるご質問 任意継続 資格の喪失について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/voluntary_continuation/009/ - 協会けんぽ「被扶養者の認定における特例について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/public_relations/004/ - 大田区「国民健康保険料計算方法」(令和8年度)
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/kokunen/kokuho/hokenryou/keisan.html - 大田区「国保料の負担軽減(減額・免除)」
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/kokunen/kokuho/hokenryou/genmen.html