定年後に再雇用で働き続けると、給料が大きく下がることがあります。その下がった分の一部を雇用保険が補うのが高年齢雇用継続給付です。60歳時点の賃金と比べて75%未満になった場合、賃金の最大10%が65歳になるまで毎月支給されます。この記事では、対象になる条件、給付率の決まり方、計算例、年金との調整、手続きをまとめます。
- 60歳時の賃金と比べて75%未満なら対象、64%以下で最大10%
- 60歳時40万円が再雇用で24万円になった場合の計算例
- 被保険者期間5年以上など、対象の条件
- 年金との調整、会社経由で行う申請の流れ
制度の基本情報
- 実施主体
- 厚生労働省(ハローワーク)
- 給付・助成内容
- 賃金の最大10%相当額を毎月支給(低下率に応じて逓減、支給限度額あり)
- 対象条件
- 60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者で、被保険者期間が通算5年以上あり、60歳到達時点と比べ賃金が75%未満に低下していること。
- 申請方法
- 事業主が「高年齢雇用継続給付支給申請書」を管轄ハローワークへ提出。初回は支給対象月の初日から4ヶ月以内、以降は原則2ヶ月ごとに申請する。
2026年7月29日 時点の公式情報をもとに整理しています。金額・期限は改正されることがあるので、申請前に公式サイトでご確認ください。
結論:賃金が60歳時点の75%未満に下がったら、最大10%が上乗せされる
高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満で雇用保険に加入して働いている人が対象です。60歳になった時点の賃金(60歳到達時賃金)と、いまの賃金を比べて、75%未満に下がっていれば支給されます。
支給額は、いまの賃金に対する割合で決まります。
| いまの賃金 ÷ 60歳時の賃金 | 支給率 |
|---|---|
| 64%以下 | 賃金の10% |
| 64%超〜75%未満 | 10%から0%へ段階的に減る |
| 75%以上 | 支給なし |
※ 10%は令和7年4月1日以降に60歳に達した人の率です。それ以前に60歳に達した人は、61%以下で最大15%が適用されます。この給付は将来的に縮小する方向で見直されているので、対象になる時期の率を確認してください。
計算例:60歳時の月給40万円、再雇用後24万円の場合
- 24万円 ÷ 40万円 = 60% → 64%以下なので支給率10%
- 24万円 × 10% = 月2万4,000円
- 65歳になるまでの5年間、賃金が変わらなければ合計約144万円
再雇用後が28万円(70%)なら支給率は数%に下がり、30万円(75%)以上なら支給されません。下がり幅が大きいほど手厚い設計です。
対象になる人:60歳以上65歳未満、雇用保険に5年以上
- 60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者であること
- 雇用保険の被保険者だった期間が通算5年以上あること。60歳の時点で5年に満たない場合は、5年に達した時点から対象
- 60歳到達時の賃金と比べて、いまの賃金が75%未満であること
- いまの賃金が支給限度額未満であること。賃金と給付の合計に上限があり、賃金が高い人は減額または不支給になります
「60歳到達時の賃金」は、60歳になる前6か月の賃金の平均です。定年が60歳でなくても、同じ会社で60歳を過ぎて働いている人はこの賃金が基準になります。
60歳で退職して失業手当(基本手当)を受け、その後に再就職した人は「高年齢再就職給付金」という別の給付の対象になることがあります。基本手当を100日以上残して再就職した場合に、残日数に応じて1年または2年間支給されます。基本手当を受けたかどうかで、どちらの給付になるかが分かれます。
年金との調整:65歳前の厚生年金を受けている人は一部が止まる
高年齢雇用継続給付を受けている間、65歳前の「特別支給の老齢厚生年金」を受けている人は、年金の一部が支給停止になります。停止される額は、最大で標準報酬月額の4%相当です(令和7年4月1日以降に60歳に達した人。それ以前の人は最大6%)。
これは在職老齢年金の調整とは別の仕組みで、両方が同時に働くことがあります。とはいえ、給付が10%で年金の停止が最大4%なので、差し引きではプラスになるのが通常です。年金事務所や会社の担当者に、自分の場合の影響を確認しておくと安心です。
65歳になると高年齢雇用継続給付は終了し、老齢年金との調整もなくなります。
手続き:会社経由でハローワークへ、2か月ごと
この給付は原則として会社が手続きを行います。本人がやることは、会社に必要事項を伝え、書類に記入することです。
- 60歳到達時に、会社が「六十歳到達時等賃金証明書」をハローワークに提出する。これで基準になる賃金が登録されます
- 初回の支給申請は、支給対象月の初日から4か月以内。「高年齢雇用継続給付受給資格確認票・支給申請書」を会社経由で提出します
- 2回目以降は、原則2か月ごとに申請。ハローワークが指定する申請月に、直近2か月分をまとめて申請します
- 給付は本人の口座に振り込まれる。会社が代理で受け取ることはできません
会社によっては制度を把握していないこともあります。60歳以降に賃金が下がったら、「高年齢雇用継続給付の手続きをしてほしい」と人事に伝えることが、受給の最初の一歩です。
使う前に知っておきたい注意点
- 賃金が下がった理由は問わない。再雇用、役職定年、時短勤務など、理由にかかわらず75%未満なら対象です
- 月ごとに判定される。残業や賞与で賃金が変動すると、その月の支給率が変わります。賞与は原則として計算に含めません
- 転職しても対象になりうる。失業手当を受けずに別の会社に移った場合、60歳到達時賃金は前の会社の賃金が基準になります
- 非課税。給付金に所得税・住民税はかかりません
- 65歳の誕生日の前日で終了。65歳以降の雇用継続には別の制度はありません
よくある質問
60歳で再雇用になり、給料が半分になりました。いくらもらえますか?
いまの賃金が60歳時点の64%以下なので、支給率は最大の10%(令和7年4月以降に60歳になった人の場合)です。たとえば再雇用後の月給が20万円なら、月2万円が65歳になるまで支給されます。ただし賃金と給付の合計には上限があり、支給限度額を超える部分は支給されません。
手続きは自分でするのですか、会社がするのですか?
原則として会社が行います。60歳到達時の賃金証明書の提出と、2か月ごとの支給申請を会社がハローワークに対して行い、給付金は本人の口座に振り込まれます。会社が手続きをしていない場合は、人事や総務に依頼してください。本人が直接申請することも可能です。
年金をもらいながら高年齢雇用継続給付を受けられますか?
受けられます。ただし65歳前の特別支給の老齢厚生年金を受けている場合は、年金の一部(最大で標準報酬月額の4%相当。令和7年3月以前に60歳に達した人は6%)が支給停止になります。給付率10%に対して停止が最大4%なので、通常は給付を受けたほうが手取りは多くなります。
パートで週20時間以上働いている場合も対象ですか?
雇用保険の被保険者であれば対象です。被保険者期間が通算5年以上あり、60歳到達時の賃金と比べて75%未満に下がっていれば、雇用形態にかかわらず支給されます。
他にも使える制度があるかもしれません
5つの質問に答えるだけで、あなたの状況に合いそうな給付金・補助金の候補を確認できます。無料・登録不要で、入力内容は端末の中だけで処理されます。
キャリアチェンジに合いそうな転職エージェントも、転職エージェント診断で確認できます →あわせて確認しておきたいこと
- 高年齢雇用継続給付の計算シミュレーター — 60歳時と今の月給から、支給率と毎月の額を計算できます(2026年8月の上限額)
- 退職金手取りシミュレーター — 60歳定年時の退職金の手取りを計算できます
- 在職老齢年金の早見表 2026年度 — 60歳以降に働きながら年金を受け取ると止まる額を計算できます
- 手取り年収シミュレーター — 再雇用後の年収から手取りの目安を計算できます
- 転職エージェント診断 — 60歳以降の転職に対応した相談先も診断できます
関連サービス
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出典
- ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_continue.html
- 厚生労働省・ハローワーク「高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について」(PDF) https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/kounenrei.pdf