退職後の手続きガイド

国民年金保険料免除・納付猶予制度

失業・収入減少などで国民年金保険料の納付が困難な人向けに、所得に応じて全額〜4分の1の保険料免除、または50歳未満向けの納付猶予を認める制度。

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会社を辞めると、厚生年金から国民年金に切り替わり、月1万7,000円台の保険料を自分で納めることになります。収入がない時期にこれは重い負担です。そのために免除と納付猶予の制度があり、退職した人は前年の所得が高くても「失業の特例」で免除を受けやすくなっています。未納のまま放置するのと、免除を申請するのとでは、将来の年金額にも障害年金の受給資格にも大きな差が出ます。この記事では、免除の区分と所得基準、退職者の特例、年金額への影響、申請の方法をまとめます。

  • 全額・4分の3・半額・4分の1の免除と、50歳未満の納付猶予
  • 退職者が使える「失業の特例」。前年の所得を除いて審査される
  • 免除した期間は年金額に何割反映されるか。未納との決定的な違い
  • 市区町村・年金事務所・電子申請での手続きと、2年1か月さかのぼれる期限

制度の基本情報

年金保険料減免 全国対象
実施主体
日本年金機構
給付・助成内容
保険料の全額・4分の3・半額・4分の1のいずれかを免除、または50歳未満は納付猶予(猶予期間分は10年以内なら追納可能)
対象条件
本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定基準以下、または失業・退職等の特例に該当する20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者。
申請方法
住所地の市区町村役場の国民年金担当窓口、年金事務所、または郵送・電子申請で「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」を提出する。

公式サイトで最新情報を見る →

2026年7月29日 時点の公式情報をもとに整理しています。金額・期限は改正されることがあるので、申請前に公式サイトでご確認ください。

結論:所得に応じて保険料が免除される。退職者は特例で通りやすい

国民年金保険料の免除・納付猶予は、国民年金の第1号被保険者(自営業、フリーランス、無職、退職した人など、20歳以上60歳未満)が対象です。会社員(第2号)とその扶養に入っている配偶者(第3号)は対象になりません。

区分内容審査の対象になる所得
全額免除保険料の全額が免除本人・配偶者・世帯主
4分の3免除4分の1を納める本人・配偶者・世帯主
半額免除半額を納める本人・配偶者・世帯主
4分の1免除4分の3を納める本人・配偶者・世帯主
納付猶予(50歳未満)納付を先送り。免除ではない本人・配偶者のみ

「世帯主」が審査に入るのがポイントです。親と同居していて親が世帯主なら、親の所得も見られます。納付猶予は世帯主の所得を見ないので、親と同居する50歳未満の人は納付猶予のほうが通りやすいことがあります。

全額免除の所得基準

前年の所得が「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」以下であること。単身なら所得67万円以下で、給与収入に直すとおよそ132万円以下(2025年の収入。2026年の収入からは141万円以下)です。一部免除は基準が段階的に緩くなります。

退職した人は「失業の特例」で前年所得が除外される

免除の審査は前年の所得で行われるので、「去年まで会社員で年収があった人は通らないのでは」と思いがちです。ここで使えるのが失業などによる特例免除です。

  • 退職・失業した本人の前年所得を除外して審査されます。前年に年収500万円あっても、本人の所得はゼロとして扱われます
  • 配偶者と世帯主の所得は通常どおり審査されます。単身者や、配偶者も収入が少ない場合は、全額免除になることが多いです
  • 特例が使えるのは、退職した月の前月から、退職の翌々年の6月までの期間です

申請には、雇用保険受給資格者証、離職票、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書などの写しを添付します。自営業を廃業した場合は、廃業届の控えなどで同様の特例が使えます。

退職者の典型的な手順

  1. 退職後14日以内に、市区町村の窓口で国民年金への切り替え(第1号被保険者への種別変更)をする
  2. 同じ窓口で、失業の特例を使った免除申請をする。離職票の写しを持参する
  3. 免除の年度は7月から翌年6月なので、退職の時期によっては今年度分と前年度分の2枚の申請書を出す

免除と未納の決定的な違い:年金額と受給資格

「どうせ払えないなら放置しても同じ」ではありません。免除・猶予を受けた期間と、何もせず未納の期間では、扱いがまったく違います。

区分老齢年金の額への反映受給資格期間(10年)に算入障害・遺族年金の納付要件
全額納付満額される満たす
全額免除2分の1される満たす
4分の3免除8分の5される満たす
半額免除8分の6される満たす
4分の1免除8分の7される満たす
納付猶予反映されないされる満たす
未納反映されないされない満たさない

全額免除でも年金額の2分の1が反映されるのは、国民年金の財源の半分が国庫負担だからです。未納だとその国庫負担分すら受け取れません。さらに未納期間があると、病気やケガで障害年金が必要になったとき、納付要件を満たさず受け取れないことがあります。免除申請は「将来の年金を減らす手続き」ではなく、「未納にしないための手続き」です。

後から納める「追納」

免除・猶予を受けた保険料は、10年以内なら後から納められます(追納)。追納すると、その期間は全額納付したのと同じ扱いになります。ただし、免除を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。収入が戻ったら早めに追納するのが得です。追納した保険料は社会保険料控除の対象になり、その年の所得税・住民税が下がります。

申請の方法:市区町村の窓口、年金事務所、郵送、電子申請

  • 市区町村の国民年金担当窓口:退職後の切り替えと同時にできるので、退職者はここが最も手軽です
  • 年金事務所:窓口または郵送で申請できます
  • 電子申請:マイナポータルから申請できます。離職票などの添付書類は画像で提出します

申請書は「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」です。年度は7月から翌年6月までで、年度ごとに申請が必要です。全額免除と納付猶予は「翌年度以降も継続して審査を希望する」にチェックすると、翌年度は自動で審査されます(失業の特例を使う場合は毎年度、書類を添えて申請します)。

過去の分もさかのぼって申請できます。申請した時点から2年1か月前までの期間が対象です。退職後に手続きを忘れて未納になっていた人は、いまからでも申請すれば免除に変わる可能性があります。

審査結果は2〜3か月後に「承認通知書」または「却下通知書」で届きます。承認されるまでの間は納付書が届くことがありますが、承認されれば免除された分は納める必要がありません。

使う前に知っておきたい注意点

  • 一部免除は、残りの保険料を納めないと「未納」扱いになる。4分の3免除なら残り4分の1を期限内に納める必要があります。納めないと、その期間は免除ではなく未納として扱われます
  • 会社員の配偶者の扶養に入れる場合は、そちらが優先。退職後に配偶者の扶養(第3号被保険者)に入れれば、保険料は不要で年金額にも満額反映されます。年収の見込みが130万円未満なら扶養を先に検討してください
  • 学生は学生納付特例、産前産後は別の免除がある。学生は本人の所得のみで審査される学生納付特例、出産する人は出産予定月の前月から4か月間の産前産後免除(この期間は納付済みと同じ扱い)が使えます
  • 付加年金や国民年金基金には加入できない。免除・猶予の期間中は、上乗せの制度が使えません
  • 60歳以降は第1号被保険者ではないので対象外。60歳を過ぎて任意加入する場合、免除は使えません

よくある質問

退職したばかりで前年の年収は500万円ありました。免除は受けられますか?

失業の特例を使えば、本人の前年所得を除外して審査されるので、受けられる可能性が高いです。配偶者や世帯主の所得は審査されるため、単身者や配偶者の収入が少ない場合は全額免除になることが多くあります。申請時に離職票や雇用保険受給資格者証の写しを添付してください。

免除を受けると将来の年金は減りますか?

全額納付した場合と比べると減りますが、未納よりははるかに有利です。全額免除の期間は年金額の2分の1が反映され、受給資格期間にも算入されます。10年以内に追納すれば、全額納付と同じ扱いに戻せます。未納の場合は年金額に反映されず、受給資格期間にも算入されません。

納付猶予と免除はどちらがいいですか?

免除のほうが有利です。全額免除は年金額の2分の1が反映されますが、納付猶予は反映されません(受給資格期間には算入されます)。ただし納付猶予は世帯主の所得を審査しないため、親と同居している50歳未満の人など、免除の審査に通らない場合の選択肢になります。どちらも10年以内に追納できます。

手続きを忘れて未納になっている期間があります。今からでも免除にできますか?

申請した時点から2年1か月前までの期間は、さかのぼって免除・猶予を申請できます。その期間について所得基準を満たしていれば(退職者は失業の特例を使えば)、未納から免除に変わります。それより前の期間はさかのぼれないので、気づいた時点ですぐに申請してください。

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