死亡後の手続きのガイド
相続の期限の数え方
3か月・4か月・10か月は、どれも「命日の◯か月後の同じ日」。土日と月末で1日ずれる仕組みを整理しました。
相続放棄は3か月、準確定申告は4か月、相続税の申告は10か月。期間は覚えていても、「で、何月何日まで?」になると迷います。解説によって書き方が違い、1日ずれていることもあります。
- 3つとも「命日(知った日)の◯か月後の同じ日」
- 「翌日から4か月後」と書く解説は1日遅いことがある
- 月末に亡くなると、応当する日がない月は末日が期限
- 土日祝・年末年始に当たると翌開庁日にずれる
結論:命日の◯か月後の、同じ日付
準確定申告 → 4か月後の同じ日(所得税法125条)
相続税の申告・納付 → 10か月後の同じ日(相続税法27条)
4月1日に亡くなり、その日に相続の開始を知った場合は、相続放棄が7月1日、準確定申告が8月1日、相続税の申告が2027年2月1日です。
なぜ「同じ日」になるのかというと、期間の数え方が法律で決まっているからです。期間の初日は数えません(民法140条)。つまり起算日は命日の翌日の4月2日です。そして起算日に応当する日の前日に満了します(民法143条2項)。3か月後の応当日は7月2日なので、その前日の7月1日が期限になります。結果として、命日と同じ日付に戻ります。
「翌日から4か月後」と書く解説は1日遅い
準確定申告の期限を「知った日の翌日から4か月後の同じ日」と説明している記事があります。4月1日の例で言うと8月2日です。しかし所得税法125条は、こう書いています。
起算日の4月2日から4か月を経過した日は8月2日で、期限はその前日の8月1日です。国税庁も「知った日の翌日から4か月以内」と書いており、期間の満了は応当日の前日なので、同じ結論になります。
1日の差ですが、期限ぎりぎりで動いているときには効いてきます。しかも2026年の8月1日は土曜日なので、実際の提出期限は翌開庁日の8月3日(月)です。「8月2日(日)が期限」と書かれた記事のとおりに動くと、日曜に税務署へ行くことになります。
相続放棄と相続税も同じ数え方です。相続税法27条は「知った日の翌日から10月以内」、民法915条は「知った時から3か月以内」で、どちらも満了日は応当日の前日=命日と同じ日付になります。
月末に亡くなったとき
1月31日に亡くなった場合、相続放棄の期限は「4月31日」になりそうですが、そんな日はありません。この場合はその月の末日に満了します(民法143条2項ただし書)。つまり4月30日です。
ただし、同じ1月31日でも準確定申告は5月31日が期限です(5月31日は存在するため)。手続きごとに月が違うので、片方だけ末日に丸められることがあります。
土日・祝日・年末年始に当たったとき
税務署に出す準確定申告と相続税の申告は、期限が日曜・祝日・土曜・12月29日〜1月3日に当たると、翌開庁日が期限になります(国税通則法10条2項、同施行令2条2項)。家庭裁判所に出す相続放棄も、閉庁日は受け付けられないため、実務上は翌開庁日が期限です。
年末年始は特に伸びます。8月31日に亡くなった場合、準確定申告の本来の期限は12月31日ですが、税務署が閉まっているため1月4日(月)になります。
命日別の早見表(2026年に亡くなった場合)
| 命日 | 相続放棄(3か月) | 準確定申告(4か月) | 相続税(10か月) |
|---|---|---|---|
| 4月1日 | 7月1日(水) | 8月1日(土)→8月3日(月) | 2027年2月1日(月) |
| 1月31日 | 4月30日(木)※末日 | 5月31日(日)→6月1日(月) | 11月30日(月) |
| 5月15日 | 8月15日(土)→8月17日(月) | 9月15日(火) | 2027年3月15日(月) |
| 8月31日 | 11月30日(月) | 12月31日(木)→1月4日(月) | 2027年6月30日(水) |
| 10月10日 | 2027年1月10日(日)→1月12日(火) | 2027年2月10日(水) | 2027年8月10日(火) |
→ の右が、閉庁日を避けた実際の期限です。数字は死亡後の手続き期限カレンダーと同じ計算で出しています。
起算点は「亡くなった日」ではなく「知った日」
3つとも、条文の起算点は「相続の開始があったことを知った日」です。同居の家族ならふつうは命日と同じですが、疎遠だった親族が亡くなって後から知らされた場合は、知った日から数えます。
亡くなってから半年後に「あなたが相続人です」と知らされた場合でも、そこから3か月以内なら相続放棄はできます。計算するときは、命日ではなく知った日を入れてください。
自分の日付で確かめる
命日(知った日)を入れると、この記事の数え方で、死亡届から相続税・相続登記・もらえるお金の時効まで17件の期限を日付で出します。無料・登録不要で、入力した日付は端末の中だけで処理されます。
カレンダーへの登録と、家族への共有もできます。
よくある質問
相続放棄の3か月はいつが期限ですか?
相続の開始を知った日の3か月後の、同じ日付です。4月1日に知った場合は7月1日までです。期間の初日は算入せず(民法140条)、起算日に応当する日の前日に満了する(民法143条2項)ため、結果として命日と同じ日付になります。
準確定申告の期限は「4か月後の同じ日」ですか、その翌日ですか?
同じ日です。所得税法125条は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4月を経過した日の前日まで」と定めています。4月1日に知った場合、4月を経過した日は8月2日なので、期限はその前日の8月1日です。解説によっては8月2日と書かれていることがありますが、条文では1日前になります。
月末に亡くなった場合の期限はどうなりますか?
応当する日がない月は、その月の末日が期限です(民法143条2項ただし書)。1月31日に亡くなった場合、相続放棄の3か月後は4月31日にあたりますが、その日は存在しないため4月30日が期限になります。
期限が土日や年末年始に当たったらどうなりますか?
税務署に出す準確定申告と相続税の申告は、期限が日曜・祝日・土曜・12月29日から1月3日に当たるとき、翌開庁日が期限になります(国税通則法10条2項、同施行令2条2項)。家庭裁判所に出す相続放棄も、閉庁日の翌開庁日が実務上の期限です。
まとめ
- 相続放棄3か月・準確定申告4か月・相続税10か月は、どれも命日(知った日)の◯か月後の同じ日
- 初日は数えず、応当日の前日に満了する(民法140条・143条2項)ので、結果として同じ日付になる
- 「翌日から◯か月後」と書かれた解説は1日遅いことがある
- 応当する日がない月はその月の末日(1月31日没の相続放棄は4月30日)
- 土日祝・年末年始に当たると翌開庁日(8月31日没の準確定申告は1月4日)
- 起算点は命日ではなく「知った日」。後から知らされた場合はそこから数える
参考にした資料
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